朝鮮民主主義研究センター

2009年2月22日

食糧支援より、農業改革を

昨年12月に発表された国連食糧農業機関(FAO)と世界食糧計画(WFP)の報告書について、救う会事務局長の平田隆太郎氏がその内容を詳細に検討した論文「人口も食糧生産も水増し−北朝鮮の食糧統計」を発表した。おおまかな内容は以下の通りだ。

  • 食糧需給の状況を判定する基礎になっている人口統計は水増しされている。北朝鮮政府の発表は2390万人、国連機関の推計は2355万人だが、これらは1990年代の大量餓死を無視している。実際には1800万人と証言した脱北者もいる。
  • 食糧生産の統計も水増しされている。国連の数字では一人当たりの米の収穫量は年間45.7kg、人口を1860万人とすると年間57.9kgとなり、年間61kgという日本の数字とそれほど変わらない。米はほとんど食べられない、という脱北者の証言とかけ離れている。実際の数字ははるかに少ないものと推定できる。
  • 食糧生産が低い根本的な原因は「主体農法」にある。画一的な指令で適地適作・適期適作ができなくなっている。農機具や農業インフラが十分でなく、多くの作業を人力に頼っていることも効率化の障害になっている。

北朝鮮に対する経済制裁をもっぱら主張する救う会の中で、平田氏は北朝鮮の食糧危機に以前から関心を寄せており、炊き出しによる食糧支援を提案したこともある。食糧支援の必要性は認めた上で、それが支配層に横取りされない形での支援を提案したものだった。今回の分析も北朝鮮農業の問題点を具体的に指摘しており、参考になる点が多い。

昨年の北朝鮮農業は豊作だったという報道もあったが、国連機関は依然として食糧支援の必要性を訴えつづけている。しかし根本的な問題を放置したまま支援を続けるのは正しくない。国際社会に対して食糧支援を訴えるなら、それ以上の重みで北朝鮮に対して農業改革を要求するべきだ。問題点は以前から明白であり、どうすれば解決するかもハッキリしている。

今週の北朝鮮(2009/02/14-2009/02/20)
投稿者 kazhik : 2009年2月22日 11:09
コメント&トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://asiavoice.net/mt/mt-tb.cgi/336