朝鮮民主主義研究センター

2009年12月15日

経済の論理を無視したデノミはすぐに破綻する

朝鮮新報の記事によれば、11月30日に実施されたデノミは「国家と社会の発展のために誠実に労働し、報酬を受ける市民を優待する仕組みになっている」のだという。「各地の工場や企業などでは従業員に対して、以前と同額の賃金を新通貨で支給する」とも伝えられている。つまり、労働者の賃金にはデノミは適用されないことになる。賃金が100倍になるのと同じだ。

これはあまりにも愚かな政策で、果たして報道が本当かどうか疑ってしまう。100倍の賃金を支払う工場や企業は、そのカネをいったいどこから持ってくるのか。採算性を考慮するならただちに生産物の価格を引き上げる以外ない。月間の生産コストが10万ウォンで、うち5万ウォンが労働者の賃金となっている企業があるとしよう。デノミの結果、賃金以外の生産コストは5万ウォンから500ウォンに変わるが、賃金は5万ウォンのままになる。生産コストは5万500ウォン。これを回収するためには生産物の価格はデノミ前の半分程度でなければならない。言い換えると、デノミ後に生産物の価格を50倍に引き上げなければならない。デノミの効果はほとんど否定されることになる。

労働者の生活を保障したいのであれば、賃金を引き上げるのではなく配給制度を復活させればよい。それが市場経済を敵視する現体制のイデオロギーにもかなっている。しかし配給制度を復活させて市場経済を無用とするだけの力がないため、子ども騙しの賃金バラマキ政策に訴えるしかなくなっている。そんな政策で騙される者がいるとしてもほんの数日のことだ。100倍の賃金を受け取った労働者は、その価値が激しいインフレで目減りしていくのを茫然と眺め、そして「国家と社会の発展のために誠実に労働し、報酬を受ける市民を優待する」政府に対する失望と反感を強めるだろう。

今週の北朝鮮(2009/12/05-2009/12/11)
投稿者 kazhik : 2009年12月15日 08:35
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