朝鮮民主主義研究センター

2009年12月 6日

北朝鮮でデノミ実施

北朝鮮で11月30日に通貨のデノミネーションが実施された。旧100ウォンを1ウォンとするものだ。旧通貨は12月6日まで一世帯あたり10万ウォンを上限として新通貨と交換できると発表された。上限はすぐに15万ウォンへと変更され、さらに10万ウォン・プラス・一人あたり5万ウォン(つまり4人世帯だと30万ウォン)へと変更された。上限を越える額は1000対1のレートで銀行に貯金できるという。

目的はインフレの抑制、と解説するメディアもあるが、デノミ自体にインフレを抑制する効果はない。インフレを抑制するためには通貨の価値を安定させなければならないのに、今回の措置は逆に通貨の価値を政府がみずから否定してしまった。一定額以上のウォンを紙クズにする措置が予告なしに実施されるのであれば、ウォンはババ抜きのババのようなものだ。今後多額のウォンを保持する者はいなくなるだろう。北朝鮮国内でもドル、ユーロ、元などの外貨による取引が好まれるようになる。それを予期したためか、平壌市当局は同時に外貨の使用を禁じる公告を出した。パニックが起こっていると報じられているのは当然だ。

最近の市場経済の発達で蓄財に成功した人たちは今回の措置で大きな損害を被ったに違いない。デノミの狙いもそこにあったのだろう。しかし溜め込まれたウォンを紙クズに変えることで得をする者はいない。ウォンに対する信用が暴落し、誰もウォンを受け取りたがらなくなってしまえば、国家の経済運営全体にもマイナスの影響を及ぼす。経済合理性をまったく無視した措置としか言いようがない。

市場を通じて蓄財した人たちが損害を被ったことで、そうでない人たちは喝采を送っているだろうか。格差の拡大に歯止めがかかったことを喜ぶ者もいるかもしれない。多くの人は新通貨と交換できる上限を越えるウォンは持っていないだろうから、さしあたり淡々と新通貨への移行を受け入れるだけかもしれない。しかし、市場で成功した人たちが損害を被れば市場経済は機能しなくなり、人々は配給制度に頼る以外なくなる。配給制度が正常化しないのであれば、生活の不満は直接に現体制へと向かうだろう。

今週の北朝鮮(2009/11/28-2009/12/04)
投稿者 kazhik : 2009年12月 6日 17:20
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