朝鮮民主主義研究センター

2009年11月14日

人権問題に内政不干渉の原則は要らない

国連総会の第三委員会に北朝鮮の人権問題に関する決議案が提出されたことに対し、北朝鮮政府が例のごとく金切り声をあげて反発している

「『人権問題』をもって一番うるさく騒ぎ立てている国は、おしなべて人権状況が最悪で深刻な国々である」とし、最初に非難しているのはアメリカだ。アメリカでは貧富の差が拡大している、対テロ戦争の名目で9.11事件の死亡者の数十倍も無辜の人民を殺戮している、とのことだ。次は日本が槍玉に上がる。過去の侵略戦争や植民地支配を清算していない日本は「人権について語る体面さえ失った精神的、道徳的に浅ましい国」だという。

まあ、もっともな主張ではある。北朝鮮政府にはぜひともアメリカの人権侵害を非難する決議をつくって国連に提出してほしい。次の米朝交渉で議題としてとりあげてくれればなおよい。日本に関しては戦後に発生した人権侵害について何も言われていないのが物足りない。現在の日本にも人権問題はあり、多くの人たちが人権侵害に苦しんでいる。最低でも在日コリアンに対する人権侵害ぐらいは取り上げるべきではないのか。

しかし、アメリカや日本の人権問題を指摘しても北朝鮮自身の人権問題が消えてなくなるわけではない。決議案の共同提案国は49ヶ国あるので、アメリカと日本にだけケチをつけても意味がない。そこで北朝鮮政府は「われわれには、人間を金の奴隷とみなす資本主義社会では想像もできない人間の真の生と幸福がある」のだと主張する。「歴史の主人である人民大衆が最も強力で尊厳ある存在となり、誰もが祖国の繁栄のために血と汗を惜しみなくささげる、張り合いがあり喜びにあふれる社会主義の生活がまさにそれである」と。

北朝鮮の人民は「最も強力で尊厳ある存在」であることをどのように保障されているのか。人民は金正日より強力なのか。「先軍政治」のイデオロギーとの整合性はあるのか。そういった点が具体的に説明されなければ誰も納得しないだろう。国際社会が問題にしているのは、なぜ「最も強力で尊厳ある」人々が収容所に入れられているのか、なぜ「張り合いがあり喜びにあふれる社会主義の生活」を捨てて祖国から脱出する人が後を絶たないのか、という点だ。

この論文は「彼らは『人権擁護』という体裁のよい看板を掲げて、内政干渉の無制限な自由を得ようとしている」と身構えている。アメリカ政府や日本政府がここで警戒されている通りのことを狙っているなら大いに結構なことだ。国際的な査察団が強制収容所を訪れ、不当に拘束されている人たちを解放させることができれば素晴らしい。人権問題に内政不干渉の原則は要らない。

今週の北朝鮮(2009/11/07-2009/11/13)
投稿者 kazhik : 2009年11月14日 17:52
コメント&トラックバック

こんにちは。中立的な立場から客観的に真実を見抜く洞察力が必須ですね(@^-^@)ひとりひとりの人権を大切に守りましょう。(@^-^@)

人権を守るのコメント(2009年11月18日 09:35)

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