朝鮮民主主義研究センター

2009年9月27日

末期症状を呈してきた金正日体制

北朝鮮の憲法が今年4月に改正されていたことが明らかになった。各メディアの報道を総合すると、変わったのは以下の点だ。

  1. 国防委員長を「国家の最高指導者」として明記した。従来は最高人民会議の常任委員長である金永南が形式的な国家元首だったが、改正により形式的にも金正日が国家元首となった。
  2. 金正日の「先軍思想」を金日成の「主体思想」と並ぶ指導理念とした。その一方で「共産主義」は指導理念とされなくなった。

もともと金永南ではなく金正日が最高権力者だということは誰の目にも明らかだったし、マルクスやエンゲルスが語った共産主義と現在の北朝鮮はあまりにもかけ離れていた。この改正は北朝鮮が「金王朝」と言うべき体制だということを追認したものだ。

金王朝の後継者は三男のジョンウン、という以前からの推測に関しても決定的な事実が出てきた。台湾の写真作家が北朝鮮の元山で「わが民族の栄光、万景台の血統、白頭の血統を受け継いだ青年大将キム・ジョンウン同志」と書かれたポスターを撮影し、写真共有サイトで公開したのだ。

以前の北朝鮮の公式見解では、金日成から金正日への権力の継承は世襲ではなかった。指導者にもっとも適した人物がたまたま金日成の息子だった、と説明されていた。しかし現在ではそんな小理屈も必要なくなったようだ。ジョンウンは「万景台の血統、白頭の血統」だから後継者なのだという。

このポスターがどの程度まで金正日政権の公式見解を反映しているのかは不明だ。後継者に関する論議は7月から中断されている、という報道もあった。そもそもジョンウンは1983年か1984年生まれで、まだ20代だ。政治指導者としての実績もゼロに等しい。王朝の論理だけで簡単に指導者として認められるわけではない。しかしジョンウンでないとしたら次男の正哲が後継者だというから、どちらでも似たようなものだ。

憲法の改正や後継者論議の状況が示すのは体制の末期症状だ。低迷する経済を立て直すことができず、外交的な孤立を解消することもできないまま時代錯誤な体制の論理だけが進化しているが、その論理にしたがって後継者を決定することすらできない。すべてが終わるのは遠い未来ではない。

今週の北朝鮮(2009/09/19-2009/09/25)
投稿者 kazhik : 2009年9月27日 11:25
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