朝鮮民主主義研究センター

2009年6月21日

名実ともに崩壊へと向かう六ヶ国協議

韓国の李明博大統領がアメリカを訪問し、16日にオバマ大統領と会談した。発表された「米韓同盟のための共同ビジョン」では、アメリカが韓国に「核の傘」を提供することが明記されている。「核の傘」が首脳会談の合意文書に明記されたのは今回がはじめて、ということだ。

この合意は韓国が主導したようだ。共同記者会見の記録を見ると、オバマは「李大統領と私は朝鮮半島の完全な非核化に対する共同の責任を改めて表明した」「我々は核兵器なき世界という目標を追求するグローバルな努力に責任を負っている」と、「核の傘」とは逆方向のことしか語っていない。李明博が「オバマ大統領は核の傘を含む拡張抑止力を通じて韓国の安全を保障することに対する固い責任を再確認した」とオバマが言いにくいことを代弁している。

いずれにせよ、この合意は2005年9月に成立した六ヶ国協議の共同声明に反している。共同声明は「アメリカ合衆国は、朝鮮半島において核兵器を有しないこと、及び、朝鮮民主主義人民共和国に対して核兵器又は通常兵器による攻撃又は侵略を行う意図を有しないことを確認した」「大韓民国は、その領域内において核兵器が存在しないことを確認するとともに、1992年の朝鮮半島の非核化に関する共同宣言に従って核兵器を受領せず、かつ、配備しないとの約束を再確認した」とうたっていた。「核の傘」が入り込む余地はない。

李明博はさらに六ヶ国協議から北朝鮮を除いた五ヶ国による協議を提案した。五ヶ国が集まって北朝鮮を復帰させる手段を協議するのだという。しかし、一方で朝鮮半島の非核化という目標をみずから投げ捨てておいて、他方で北朝鮮に対して非核化プロセスへの復帰を呼びかけるのは矛盾しているというしかない。これで六ヶ国協議の再開が実現する見込みはない。

とはいえ、北朝鮮を除く五ヶ国協議には大いに意味がある。話し合われるべきなのは核問題ではなく、人権問題と難民問題だ。今回の共同ビジョンには「我々は、朝鮮半島に持続的な平和をうちたて、自由な民主主義と市場経済の原則に基づく平和的な統一へと導くことによって、半島のすべての人々のためによりよい未来を建設することを目指す。北朝鮮の核兵器および現存する核プログラムの完全かつ検証可能な廃棄を実現し、北朝鮮の人々の基本的人権の尊重を促進するため、我々はともに働く」と宣言している。この宣言にしたがい、五ヶ国協議には脱北者の中から適切な人を選んで招待するべきだ。それは金正日体制に対して経済制裁よりはるかに強い圧力となるだろう。

今週の北朝鮮(2009/06/13-2009/06/19)
投稿者 kazhik : 2009年6月21日 07:44
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