朝鮮民主主義研究センター

2009年1月 4日

改革開放に背を向けた北朝鮮新年共同社説

1月1日付の北朝鮮主要三紙(『労働新聞』『朝鮮人民軍』『青年前衛』)に例年どおり共同社説が掲載された。今年の基本政策が示されるものだ。『ネナラ』に日本語訳が掲載されている

まず第一に目を引くのは、冒頭で「昨年、年初から年の暮れまで前線千里と全国各地への強行軍を続けてきた金正日同志の現地指導は、歴史に類を見ない愛国的献身の長征であった」とわざわざ金正日の健在を強調している点だ。重病説で広がる動揺を打ち消そうとするものだろうが、昨年までこのような記述はなかったので重病説の正しさをかえって裏書きする結果になっている。

経済政策に関する部分を昨年の共同社説と比べてみると、「対外経済関係を発展させる原則」が消え、代わりに「集団主義と自力更生はわれわれの固有な革命方式」と宣言されているのが大きな変化だ。昨年も「対外経済関係を発展させる原則」が具体的に何を意味するのかは説明されていなかったのだが、今年はその原則自体が取り下げられている。代わって登場した「集団主義」は市場経済へと向かう経済改革を否定する政策を示し、「自力更生」は対外的な経済開放を否定する政策を示しているとみてよさそうだ。

経済運営の実権に関しても微妙な変化を読み取ることができる。昨年は「すべての経済活動を内閣に集中させ、その統一的な指揮のもとに手配しおし進める強い規律と秩序を確立しなければならない」と書かれていたところが、今年は「経済建設に対する国家の中央集権的・統一的指導を強化し、計画化を発展する現実の要請に即してさらに改善すべきである」になっている。「内閣」が「国家」に変わったのは、内閣が実権を失ったからではないか。代わりに実権を握ったのはおそらく軍部だ。韓国が李明博政権になってからの南北関係の悪化の中では軍部が前面に出ることが多くなっていた。

軍部が経済運営を主導し、改革開放を否定していく先にあるのは経済の破綻だ。結果が明らかになるまでそれほど時間はかからないだろう。既に国家から自立しはじめている北朝鮮の人民も選択を問われることになる。北朝鮮に大きな変化が訪れる日は遠くない。

今週の北朝鮮(2008/12/27-2009/01/02)
投稿者 kazhik : 2009年1月 4日 08:07
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