デイリーNKに脱北者のキム・テサン氏によるコラムが掲載された。「北朝鮮−チェコ靴技術合作会社前社長」という肩書きがついた彼によれば、韓国企業にとって北朝鮮の最大の魅力である安い労働力は実際には毒薬と言うべきものだ。利益は望めないし、政治的な理由でいつ追い出されるかわからないという不安もある。
率直に言えば、南北経済協力という名の下で開成公団事業が始まったが、北朝鮮の経済や住民の生活に何の助けにもならなかった。世界に向けた韓国政府のアピールにすぎなかったし、独裁者金正日の懐を暖かくし、北朝鮮の軍事力の強化に貢献しただけで、それ以上の意味はないのである。
デイリーNKは一般的には金大中・盧武鉉の北朝鮮政策に批判的なスタンスをとってきた。しかし開城工業団地に関してはそれほど否定的ではなく、「積極的包容論」を掲げてその意義を肯定する河泰慶氏の見解も繰り返し掲載されてきた。そのため、今回の記事にはわざわざ「外部筆者のコラムは本誌の編集方針と一致しないこともあります」という注釈がついている。
たしかに開城工業団地の評価は難しい。その規模は北朝鮮経済全体に影響を及ぼすほど大きなものではないので、キム・テサン氏が言うほど金正日の懐を温めたわけではない。一方、河泰慶氏が望むほど北朝鮮の経済改革を促進したわけでもない。その意義は何がそれに続くかにかかっている。南の政権が北の政権にカネを供給するためのパイプとして発展していくか、それとも開城に蒔いた資本主義経済のタネが北朝鮮経済全体にばらまかれて芽を出すか、だ。
いずれにせよ現在の状況はキム・テサン氏が望む通りの方向に進んでいる。開城工業団地の最大の問題はそれが政治主導のプロジェクトだという点にあった。政治状況が変わればただちに存続が危うくなる性格のものだったし、李明博政権の登場によって現に存続が危うくなっている。今あえて「開城公団の安い労働力は毒薬だ」と叫ぶ必要はないように思える。
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