朝鮮民主主義研究センター

2008年7月12日

利権あさりを呼びかける新興成金の代弁者

六ヶ国協議が進展し、日本でも自民党内で北朝鮮政策をめぐる対立が起こるようになってきた。経済制裁見直し論に対し、安倍晋三が6月12日に「百害あって一利なし」と批判すると、「日朝国交正常化推進議員連盟」会長の山崎拓が「幼稚な考えだ」とコメント。安倍はさらに「百害あって利権あり」と発言をエスカレートさせた。7月7日には加藤紘一が2002年の拉致被害者の帰国に触れ、一時帰国のはずだったのに返さなかったために日朝交渉が停滞した、という認識を示した

この対立を見ていると、小泉政権の北朝鮮政策はとてもバランスがよかったのではないかと思えてくる。日朝国交正常化の推進と拉致問題の解決という二つの課題を一応は両立させていた。前者の成果は平壌宣言、後者の成果は拉致被害者の帰還だ。次の安倍政権は拉致問題一辺倒で、ただ経済制裁を強化しただけで何の成果も出せずに終わった。そして今の政権は拉致被害者切り捨てへと向かおうとしている。おそらく六ヶ国協議に関連して対北朝鮮援助を再開する程度で終わるだろう。

北朝鮮の新興成金を代弁している河信基氏は、最近ブログで「北朝鮮の地下資源(230兆円〜370兆円)を逃すな」と呼びかけている。日朝関係を正常化させ、北朝鮮に眠る膨大なレアメタルの開発に乗り出せ、という内容だ。どうやら新興成金を買弁資本家へと昇格させたいらしい。

北朝鮮のレアメタルに目をつけたのは彼が最初ではない。外務省で北朝鮮外交を担当した経験を持つ原田武夫氏が数年前の著書で北朝鮮のレアメタルに注目している。日本が朝鮮半島を支配していた時代に戻りたいかのような主張だったが、北朝鮮側を代弁しながら同じことを語る人間もちゃんといるわけだ。世の中うまくできているものだと感心するしかない。

 日朝ピョンヤン宣言に明記してある通り、対北朝鮮経済協力の本質は賠償であり、北朝鮮国民の過去の傷を癒し、生活向上に資するものでなくてはならない。このことは基本的姿勢や哲学など総論としては無論、北朝鮮市民と個別的、具体的に接することになる各論でも、その都度問われるであろう。

 そのことを踏まえながら同時に、カネさえあれば何でも手に入る社会へと急変貌している北朝鮮の実情に即したきめ細かな協力方式が求められよう。
 理想的なのは、北朝鮮の産業育成や雇用創出につなげることである。北朝鮮当局も、外国企業との合弁をベースにした二次、三次的加工品の輸出拡大と貿易多角化を政策目標に掲げている。

この河信基氏の主張で重要なのは後半だけで、前半は飾りでしかない。彼にとっては賠償などどうでもよく、「カネさえあれば何でも手に入る社会」に順応した人間、つまり何でも手に入るカネを持っている新興成金を代弁することだけが課題なのだ。日本の経済協力資金がこの階層に流れ込めば彼は満足なのだ。「百害あって利権あり」との言葉は、元首相の言葉としては著しく品性が欠けたものだったが、河信基氏に向けられていれば全く適切だっただろう。

今週の北朝鮮(2008/07/05-2008/07/11)
投稿者 kazhik : 2008年7月12日 15:01
コメント&トラックバック

 久しぶりに闖入します。板汚し失礼…。


   ― 自身の力量を卑下すべきではない ―

>小泉政権の北朝鮮政策はとてもバランスがよかったのではないかと思えてくる。
 現状が悲観的だからといって、取り乱すべきではありません。
ポチ小泉猪(注1)の対北朝鮮政策が、「相対的」に現在よりマシな結果に終わったのはkazhikさんの

・「週刊金曜日」のあきれた人権感覚
http://www.asiavoice.net/nkorea/20021117.html

・看板をかなぐり捨てた「人権と報道・連絡会」
http://www.asiavoice.net/nkorea/20030123.html

を含む多数の人々の活動と、それへの世論の広範な支持があったからです。
自身の力量をこのような形で卑下すべきではありません。

 そもそもポチ小泉猪、より正確には田中バイ菌こと田中均ら日本害務省の日朝交渉の最大の眼目は
>北朝鮮の賠償請求を拒否して、韓国と同等の経済協力で済ませる
にあり、そのためには拉致問題は、拉致被害者の安否確認と一部被害者の一時帰国だけでの幕引きを良しとするにあった、と推定されます。そして経済協力にしても高世仁氏が

2008-07-12 日朝正常化反対!
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080712

で喝破しているように、賠償利権の旧田中派=経世会から簒奪という奸計も含まれていたと見做すべきです。

 そしてその策謀を食い止め、拉致被害者5人の永住帰国を実現させたのが、上記kazhikさんらの活動であって、小泉日朝外交の「現状よりはマシ」は結果オーライ論にすぎません。

(注1)
 私は、当時の小泉政権のイラク参戦など対米追随への批判として言われた「ポチ小泉」と、靖国惨拝の強行に対する第二次日貨排斥(世間でいう反日暴動)で中国デモ隊が掲げた「小泉猪必亡」の罵倒表現を拝借・合体して小泉純一郎を「ポチ小泉猪」と揶揄しています。

原 良一のコメント(2008年7月13日 23:07)

 もう一題コメントします。

   ― ●金一味の代弁人にマジレスは不要では ―

 以前から気になっていたのですが、河信基(いや破信義で充分)の駄文にマジレスする必要はないと思います。彼奴の発言に生真面目に反応することは、例えば南京虐殺に関して東中野修道と論争するに等しく、はっきり言って時間と知性と労力の浪費です。

 確かに河信基は、朴正熙の伝記や金正日の後継問題でひとかどの実績を挙げ、単行本の商業面でも一定の成功を収めています。しかし彼の本籍は、自身のホームページやブログを見れば一目瞭然のとおり、正統な主権国家ではなく犯罪組織としての北朝鮮と、民族団体の本義を忘れ、北朝鮮の下僕と堕した朝鮮総連のデマゴーグ、特定東アジア(注2)のゲッベルスとも言うべき●金一味(注3)の代弁人です。

ブログ「河信基の深読み」
日本人拉致問題関連エントリー一覧
http://blogs.yahoo.co.jp/lifeartinstitute/folder/185606.html?m=l
特に
拉致問題解決は難しくない
http://blogs.yahoo.co.jp/lifeartinstitute/31850872.html
ではコメント欄に彼奴の主張の欺瞞性が指摘されています。

その意味ではkazhikさんがいう
>新興成金の代弁者
という揶揄も、彼奴の罪業の深さを周知するには不充分なので不適切であり、代替表現としては
・北朝鮮の在日広報官
あたりが適当かと…。

 これに関連して今回のエントリーのタイトルを
>○○する新興成金の代弁者
というふうに河信基批判に力点を置くのも考えもので、私たち日本人の主たる批判対象は、あくまで加藤某やエロ山拓ら政権与党の魑魅魍魎であるべきで、河信基のような在野の小者ではありません。奴の数々の暴言は、世論の支持と信頼を失って日本に居場所がない総連を含む護金派=北朝鮮支持派向けの憂さ晴らしに過ぎないと見るべきでしょう。

(注2)特定アジア
2チャンネルなどで「(不当に)反日感情を煽り、反日を国是とする国」との悪意を込めて中国、韓国、北朝鮮の3国を指す用語として広まった特定アジアですが、私はこれら3国には、
旧日帝被害者連合(Coalition of Victims by Japanese Imperialism)
という共通項があり、他の広範なアジア諸国の対日感情とは異なる強い反日感情を持つこと自体は、正当な権利であると考えています。

(注3)●金一味
こちらの旧掲示板を含む各地で北朝鮮を「豚金一味」と罵倒して怒られ、また養豚業を営む人から
>人類の生活を支えている豚を、悪魔にも劣る金正日に例えるのは不当である
という抗議の私信をいただいたので、以後「悪魔金正日」「魔金一味」と表現を変えています。
今回、これでも不適切だと思うので魔の部分は伏せ字にしました。


原 良一のコメント(2008年7月14日 02:14)

お久しぶり。

拉致被害者の帰還を実現したことは小泉政権の大きな功績です。交渉担当者としての田中均の功績とも言えます。世論に圧されただけ、というのは過小評価にすぎます。家族会に強く支持されていた安倍晋三が何もできなかったことと比べてみるべきでしょう。

もちろん全面的に評価するわけではありません。金正日体制の存続を前提とした政策は制裁であろうと対話であろうと無意味、というのが私の基本的な立場です。しかし明らかな成果まで無視するわけにはいきません。

河信基氏に関しては、私はきわめて興味深い言論のサンプルとして「観察」しています。彼は単なる「北朝鮮の在日広報官」ではありません。朝鮮新報や朝鮮中央通信には新興成金を代弁する見解は出てきませんから。

kazhikのコメント(2008年7月15日 22:59)

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