6月11日から12日にかけ、六ヶ国協議の日朝国交正常化作業部会再開に向けた実務者協議が北京で開かれた。拉致問題の再調査、「よど号」関係者の引き渡しが行われる方向になった。日本政府は人的往来と北朝鮮からの航空チャーター便の乗り入れに関する規制を解除し、人道支援目的の物資輸送に限って北朝鮮籍船舶の入港を認めることにした。
拉致問題の再調査が何を意味するのか、現時点では不明だ。結果的には何の成果もなく終わる可能性が高い。その一方で「よど号」関係者の引き渡しは具体的な成果と言うことができる。しかし「よど号」関係者としてであって、拉致実行犯としてではないようだ。拉致実行犯として日本政府が北朝鮮政府に引き渡しを求めているのは「よど号」関係者を含めて10名だ。「よど号」関係者以外の7名は一体どうなったのか。「よど号」関係者の引き渡しは拉致問題とは直接関係ない、という中山恭子首相補佐官の先日の発言もこれでようやく意味が理解できた。
今回の「よど号」関係者の引き渡しは最初に米朝交渉で話題となった。テロ支援国家指定の解除に関連している。私は以前、拉致問題があるかぎりテロ支援国家指定は解除されない、と予測したことがある。しかし現在の動きを見るとその予測は当たりそうもなくなってきた。そこで改めて米国務省のテロリズムに関する報告書を読んでみて、拉致問題に関しては「日本政府は北朝鮮の国家機関に拉致されたとみられえる12人の国民の消息について完全な説明を求めつづけている」と書かれているだけなのに気がついた。必要なのは説明だけだから、再調査で十分なのだ。「よど号」関係者の引き渡しと再調査が完了すればテロ支援国家指定は解除されるのだ。
米国によるテロ支援国家指定の解除という文脈でのみ日朝交渉が行われ、その結論が出ようとしている。拉致問題は置き去りにされつつある。
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