北朝鮮当局の市場統制に対して一万人の女性が抗議した、と先日伝えた「グッドフレンズ」のニューズレターが、今度は「肥料危機」を伝えている。耕作期が近づいているのに肥料や種子が足りないというのだ。朝鮮労働党は肥料の購入のために補助金を出すことを決めたが、地方の当局はこの決定に懐疑的だという。仮に中央が費用の70パーセントを出したとしても、横領があるので実際に地方が受け取るのは30-40パーセントになってしまうから、とのことだ。
肥料危機の背景には全般的な経済の行き詰まりがある。配給はますます滞ってきた。もっとも状況がいいはずの平壌でさえ4月から10月まで配給を止めることを決めたという。清津市のある住民は「市場での女性たちの抗議は食糧不足が引き起こした自然なできごとだった。伝えられている通り、清津市の6万世帯で食糧が足りなくなってきている。言いかえれば、一世帯あたり3-4人として約20万人が飢えている。労働者への食糧配給が止まり、女性の市場での売買が禁じられた場合、そういった家族は飢え死にするしかない」と語った。
また、協同農場が土地の一部を労働者に貸し出す制度は昨年につづいて今年も禁止されることになった。様々な理由で勤務先から給料を支払ってもらえなくなった労働者がこの制度で土地を借り、そこで農業を行って生きのびていた。禁止されたのは勤務先の企業所が正常に給料を支払えるようになったからではない。ある企業所のマネージャは「この制度が今年も禁止されるなら、私は労働者たちに企業所に来るよう言うわけにはいかない。私がまっさきに辞める。そうしないと労働者たちに殴り殺されてしまうだろう」と語った。
平壌市の官僚の発言が根本的な問題に触れている。「食糧事情は2002年から2004年にかけて好転したが、2005年に配給制度の再開が問題になってから再び悪化しはじめた。配給制度の再開は大変な誤りだった」ということだ。
2005年に配給制度の再開が伝えられとき、私は「配給の正常化は農業生産にマイナスの影響を与えるのではないか」と書いた。情報が乏しくてその後の状況がずっと分からなかったが、どうやら本当にそうなってきたらしい。2002年7月の経済管理改善措置以後、市場経済が拡大するとともに北朝鮮経済全体も回復してきたが、政府は市場経済の拡大を恐れるあまり経済の回復も否定してしまったのだ。
ニューズレターの最後にある論説記事は1990年代の飢餓を再現させないよう南北の政府が協力することを呼びかけている。だが、食糧事情が悪化したのは南北関係が悪化したからではなく、北朝鮮政府の経済政策が間違っているからだということは、当のニューズレター自身がもっとも熱心に伝えてきたところだ。
このエントリーのトラックバックURL:
http://asiavoice.net/mt/mt-tb.cgi/291