朝鮮民主主義研究センター

2008年3月 9日

韓米の弱々しい政策協調

ブッシュ政権は北朝鮮の人権状況に対する批判を控えるようになってきたようだ。Washington Postの記事によれば、東アジア太平洋局のグリン・デービス副次官補が民主主義人権労働局のエリカ・バークス・ラグルス副次官補にメールを送り、北朝鮮に関する報告書の表現を修正するよう求めた。

抑圧的な北朝鮮の体制は市民の生活のほとんど全ての側面を統制しつづけており、言論・報道・集会・結社の自由を否定し、移動の自由と労働者の権利を制限している。超法規的な殺人・失踪・恣意的拘束の報告が、政治囚についてのものも含め、孤立した国から流れ出しつづけている。何人かの強制送還された難民たちは厳しい処罰や拷問を受けたと言われた。公開処刑の報道は増加した。

この元の記述から「抑圧的な」「孤立した国」という表現が削除され、公開処刑の報道は「増加した」から「表面化しつづけている」に変わったという。Washington Postの記者はこれを「叩頭」と表現している。

一方、李明博政権は人権を「人類普遍の価値」とし、北朝鮮に人権状況の改善を求める姿勢を示している。「南北関係の特殊な状況」を理由にして国連の北朝鮮人権決議にも賛成しなかった盧武鉉政権とはだいぶ違っている。

この状況は、いままで食い違っていたアメリカと韓国の政策がそれぞれ逆方向に変わり、協調の可能性が広がった、と評価することも可能だ。しかし変わる前のアメリカも北朝鮮の人権問題を最優先課題と位置づけていたわけではないし、李明博の「非核・開放・3000」構想にも人権という文字はない。協調が成立しても大きな動きにはなりそうもない。むしろ、ブッシュ政権は李明博政権の負担を減らすために人権問題の比重を下げてきているのではないか、と疑うことさえできる。今後、北朝鮮の人権状況に対するアメリカや韓国の批判は形だけのものとなり、脱北者の受け入れや経済制裁などの圧力を伴わなくなるのではないか。

今週の北朝鮮(2008/03/01-2008/03/07)
投稿者 kazhik : 2008年3月 9日 16:22
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