朝鮮民主主義研究センター

2008年2月16日

中国が北朝鮮に軍事介入する?

青木直人氏のブログが金正日後の北朝鮮に対して中国が軍事介入する可能性を指摘している。その際に中国は「国際社会と米国との協調を背景に、『地域の安定と混乱の回避のため』、鴨緑江を越えて、北朝鮮国内に進軍する」。金正日がいなくなることによる権力の空白を埋めるのは中国しかなく、また、中国の影響で北朝鮮が改革開放へと向かえば今よりマシなので、関係国も内心で歓迎するという。このような展望に立ったうえで、青木氏は「中国軍の北朝鮮出兵は北朝鮮国民への『連帯』なのか、それとも隣国への『侵略』なのか」と問いかけている。

10年近く前、私は青木氏から同じテーマについて問いかけられたことがある。そのときはアメリカの対北朝鮮戦争がテーマだった。まだ北朝鮮に特別な関心を持っていたわけではない頃で、私の返答は左翼的な常識の枠内におさまるものだったように記憶している。その後私はRENKに参加し、少し考えを変えた。数年前に似たようなテーマで論議が起こった際、私は「奴隷の平和か、自由のための戦争か、という究極の選択を迫られたら、私だって戦争に賛成するかもしれません。それで戦争容認派と言われても結構」と書いた

しかし、なぜいま中国の北朝鮮への軍事介入が問題となるのだろうか。金正日が死にかけているという兆候はないし、体制の崩壊へ向けてカウントダウンが始まったわけでもない。飢餓や脱北は一段落しており、周辺国との関係も一応安定していると言っていい状況だ。金正日体制をどのように終わらせるか、という論議をスキップしてポスト金正日体制を論じることに意味があるとは思えない。

金正日なき朝鮮労働党政権が中国の軍事介入を受け入れる、という見通しにも疑問がある。北朝鮮で権力の空白が生じたら、その穴を埋めるのは韓国だということは自明ではないのか。朝鮮戦争のときとは異なり、今の中国にとって韓国は敵国ではない。朝鮮半島の統一が実現すれば在韓米軍も駐留の名分を失って撤退するだろう。あえて韓国による統一を阻めば韓国との関係が悪化し、その一方で北朝鮮経済を再建するコストを負担することになってしまう。

数年前であれば、中国政府は脱北者の全面的な受け入れを宣言することで北朝鮮の体制を崩壊に導くことができただろう。軍事力を使わない、人道的に非難の余地がない選択肢だった。しかし中国政府はそうせず、千載一遇のチャンスを失った。今後も現状維持を基本とする北朝鮮政策が続く、と判断するのが一番自然に思える。

今週の北朝鮮(2008/02/09-2008/02/15)
投稿者 kazhik : 2008年2月16日 13:52
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