朝鮮民主主義研究センター

2008年1月13日

六ヵ国協議の「空中分解」はもう少し先

西村幸祐氏によれば、六ヵ国協議は空中分解の状態にあるそうだ。昨年9月にイスラエルがシリアの核施設を空爆する事件があり、それと関連して核開発をめぐるシリアと北朝鮮の協力関係が浮かび上がってきたからだという。

なぜシリアと北朝鮮の関係が明らかになると六ヵ国協議が空中分解するのか、西村氏は何も説明していない。もともと六ヵ国協議は北朝鮮が核技術を輸出するのを防ぐことが大きな目的となっている。2006年10月に北朝鮮が核実験を行った際、ブッシュは「北朝鮮が核を持つのはかまわないが外国に核技術を移転するのは許さない」と受け取れる姿勢を示していた。したがってシリアと北朝鮮の関係が明らかになれば六ヵ国協議の意義はむしろ高まるのだ。空中分解というのは西村氏の願望にすぎない。

昨年10月3日に成立した六ヵ国協議の合意文書によれば、北朝鮮は12月31日までに全ての既存の核施設の無能力化と全ての核計画の申告を行うことになっていた。しかし例によって期限は守られなかった。シリアの問題とは関係ない。60日で完了するはずだった第一段階の措置が120日かかったのと同じ要因が作用しただけだ。相互の信頼関係がなく、相手が行動するのを見届けてから自身の義務を遂行しようとするため、ずるずると行動が先延ばしにされるのだ。

今月4日に北朝鮮外務省の代理人が談話を発表した。10月3日の合意のうち、北朝鮮以外の関係国は合意事項を履行していない、履行したのは核施設の無能力化を行った北朝鮮だけだ、というものだ。シリアとの関係については「すでに10・3合意文書に『核兵器とそのノウハウを移転しない』という公約を明文化したことが、われわれの答えである」との見解を示している。北朝鮮が合意を履行する意思を示しているかぎり、六ヵ国協議の枠組は生きていると考えていい。

ただ、韓国の大統領選挙で保守系の候補が勝利し、太陽政策が終わったことにより、状況は根本的に変わりつつある。北朝鮮との対話を推進する最も明確な政策が終わったのだから、対話のプロセスは今後少しずつ機能停止していくと予想できる。今はまだ空中分解と表現すべき状況ではないが、いずれそうなるだろう。

今週の北朝鮮(2008/01/05-2008/01/11)
投稿者 kazhik : 2008年1月13日 18:38
コメント&トラックバック

トラックバックありがとうございます。この件、議論を深めたいと思います。私のエントリーで貴サイトからのトラックバックを取り上げ、お互いに色々考えることが必要だと思います。
返信のエントリー、暫しお待ちください。
何はともあれ、建設的な異論のトラックバック、感謝しています。

西村幸祐のコメント(2008年1月13日 23:10)

コメントありがとうございます。ご返答をいただけるのでしたらもう少し丁寧に書くべきでした。

長期的にみた場合、北朝鮮問題の中心は南北関係だと思います。10年続いた太陽政策が終わったのは非常に大きな変化で、これからその影響が出てくるものと予想しています。

kazhikのコメント(2008年1月14日 07:00)


・拉致事件:連合が、金正日総書記にはがき作戦 同胞返して(毎日新聞) >膠着(こうちゃく)する拉致問題の解決を図ろうと、労働組合の全国組織の連合(高木剛会... [続きを読む]

アフガン・イラク・北朝鮮と日本からのトラックバック(2008年1月14日 23:31)

このエントリーのトラックバックURL:
http://asiavoice.net/mt/mt-tb.cgi/278

コメントする
(必須)


(必須:公開したくない場合は下のURLも入力してください)





名前、アドレスを登録しますか?