デイリーNKに孫光柱編集局長の論文「'金正日以後'を必ず準備しなければならない理由」(上、下)が掲載された。金正日政権の今後の動向について、核放棄と改革開放を進める可能性と、核放棄を拒否して現体制を固守する可能性を検討したものだ。
孫氏は核放棄と改革開放を「韓国と周辺国は勿論、何よりも北朝鮮の住民にとって最も良いシナリオ」とみる。しかし金正日が改革開放への強い意思を示してこなかったことを指摘し、「金正日政権が維持される限り、北朝鮮が自ら本格的な改革開放に乗り出す可能性は低い」と評価する。中国が改革開放に転じたとき、90年の東欧革命のとき、94年の金日成死亡時など、これまで何度も機会があったのに北朝鮮は改革開放に乗り出さなかった、という。
これまで北朝鮮が進めてきたのは、孫氏の表現では「蚊帳式開放」だが、それもうまくいくとは見ない。北朝鮮の政治、経済、社会文化、対外関係などはどれも正常でなく、住民の意識も大きく変わって金正日の権威が低下しているからだ。このまま開放が進めば体制崩壊が起こる、と予測する。
ここから孫氏は韓国主導の軟着陸政策を李明博政権に提案する。やや論旨が不鮮明だが、北朝鮮の体制崩壊に備えよ、と主張したいのだろう。
先日紹介した「労働者の力」の論文は近い将来に統一が実現するかのような想定に立っていた。今度の論文は近い将来に金正日政権が崩壊するかのように想定している。どちらも気が早すぎるように思える。
今の北朝鮮では市場経済をどの程度まで認めるかが大きな問題となっている。政府は一定年齢以下の女性が商売することを禁じたり、売買される品目を制限したりして市場を統制しようとしており、それでは生活できなくなる人たちが抵抗している状況だ。これは確かに大きな問題だが、さしあたっては経済政策の問題に過ぎない。どのように決着するとしても政治体制の変化には結びつかない問題だ。
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