朝鮮民主主義研究センター

2007年11月18日

米国務省北朝鮮人権担当副特使が米国議会を批判

台湾の英字紙The China Postによれば、今月12日にクリスチャン・フィトン米国務省北朝鮮人権担当副特使が香港大学で講演し、北朝鮮人権法で定められた2400万ドルの予算は今まで全く使われていない、と述べた。議会が承認しないからだという。国務省のプレスブリーフィングでもこの報道について質問が出され、スポークスマンが議会に説明を求める発言を行った。

しかし、この件に関してアメリカの議会を批判するのは筋違いのように思える。

アメリカの北朝鮮人権法は、人権擁護や民主化を目的とするNGOに対する助成金として毎年200万ドル、北朝鮮国内への外部世界の情報を流入させるための措置(例えばラジオの配布など)に毎年200万ドル、脱北者支援のNGOに対する支援に毎年2000万ドルを支出する権利を大統領に与えている。つまり2400万ドルの大半は脱北者支援を目的としている。ところが、条文は中国に滞在する脱北者への支援を想定しているため、中国が脱北者を難民として認めていない状況では使いようがない。中国が脱北者を難民と認め、保護する政策を取れば、そこで初めて北朝鮮人権法の予算が活かされることになるわけだ。

フィトンの講演の原稿は香港の米国総領事館のサイトに掲載されている。この原稿は、まず北朝鮮の人権状況を説明した後、状況を変えるための国際的な圧力の形成を呼びかけている。第一に国連の決議。第二に周辺の民主主義国の政治指導者が北朝鮮の人権状況を問題視することや、ラジオなどを通じて北朝鮮の人々に外部世界の情報を伝えること。第三に脱北者を保護すること。ここで「脱北者を『経済移民』とし、難民として扱うことを拒否する」国が批判されている。そして第四に、北朝鮮政府との対話。人権状況の改善は国際社会が北朝鮮政府を正統なものと見なすための必須の条件だという。

The China Postの記事に関連するのは第三の点だ。2400万ドルに関するくだりはない。フィトンは原稿にないこと、つまり国務省の見解とは異なることをアドリブで話し、プレスブリーフィングのスポークスマンもそうと知らずに適当に受け流してしまったのではないだろうか。原稿を読むかぎりでは、国務省の意図は脱北者を難民と認めない中国を批判することであって、自国の議会を批判することではなかったはずだ。

今週の北朝鮮(2007/11/10-2007/11/16)
投稿者 kazhik : 2007年11月18日 08:04
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