朝鮮民主主義研究センター

2007年9月30日

米朝関係の改善と先軍政治の動揺

最近の米朝交渉の進展に関し、コリア国際研究所のサイトに出た「『米・朝接近』に戸惑う北朝鮮核心階層」というコラムが興味深い分析を行っている。アメリカ帝国主義による戦争の危機を主張する先軍政治のイデオロギーは現在の平和ムードになじまないため、軍部を中心に戸惑いが広がっているというのだ。

このコラムによれば、北朝鮮社会は最近の市場経済化の過程で六つの階層に分化してきている。第一は金正日を中心にした最高権力層、第二は外貨稼ぎ分野に携わる権力階層、第三は市場と中国との取り引きでお金をためた階層、第四は配給で暮らす階層、第五は個人の土地と市場での取り引きに頼って生活している庶民、第六は労働能力がないお年寄りや障害者、浮浪児、都市への流入者、病気を煩っている人などの最下層だ。第四階層が全体の20-30パーセント、第五階層が60パーセント以上を占める。この見方は現在日本に住んでいる脱北者によるものとして9月18日のデイリーNKの記事に現れ、このコラムにも引き継がれた。

先軍政治のイデオロギーと平和ムードの衝突、という観点と市場経済化に伴う階層分化の観点は十分に整合的とは言えないし、軍部に戸惑いが出ている事実が具体的に指摘されているわけでもない。しかし北朝鮮社会が一枚岩でないことは確かだろう。貿易で利益を得る層にとっては、ミサイル実験や核実験で国際社会によって制裁を受けるのはマイナス、米朝関係の改善はプラスだ。一方、先軍政治のイデオロギーやそれを担う軍部の観点からは、ミサイル実験や核実験は必要な措置で、国際社会による制裁はイデオロギーを裏付けるものであり、逆に米朝関係の改善は自身の地位を低下させるおそれがある。

この分析が正しいとすれば、先軍政治に批判的な立場を取る者は米朝関係の改善を支持すべきだ、ということになる。改革開放を支持する勢力を成長させることになるからだ。この考え方は<関与政策を通じて金正日に代わる勢力を育てよ>という以前取り上げた河泰慶氏の「積極的包容論」につながる。

今週の北朝鮮(2007/09/22-2007/09/28)
投稿者 kazhik : 2007年9月30日 16:18
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