8月28日から平壌で南北首脳会談が行われることになった。2000年に続いて二度目だ。
2000年6月の金大中と金正日の会談以後、韓国政府は一貫して融和的な北朝鮮政策を続けてきた。2003年1月に盧武鉉が大統領になるとさらに融和的な傾向が強まり、韓国は日米韓の枠組みを離れて南北関係の維持に腐心するようになった。にもかかわらず南北首脳会談は行われていなかった。北朝鮮が2002年10月に核兵器開発計画の存在を認め、2005年2月に核保有を公然と宣言し、2006年10月に核実験を強行したためだ。この状況では金正日と盧武鉉が笑顔で会談することは不可能だった。しかし核実験まで行われたところで核による脅迫は終わった。六ヶ国協議が再開され、核廃棄へ向けての初期措置が合意された。大幅に遅れつつも初期措置が実施されたことで、盧武鉉はようやく金正日と会談できるようになったわけである。
しかし遅すぎた。盧武鉉の任期はあと数ヶ月にすぎない。2000年の首脳会談は南北統一が最大のテーマだったが、今回の会談ではそのようなテーマは議論できないだろう。盧武鉉が金正日に対して何を約束しようと、その約束を実行するのは次の政権になる。次期大統領が盧武鉉の約束を守る保証は全くない。また、核問題が一段落した状況で行われるということは、核問題を無視して南北関係を進展させる意思がないということを意味してもいる。米国政府も「南北首脳会談は6カ国協議のプロセスの中に組み込まれている」という見解を明らかにしている。つまり、今回の会談は大きな問題を解決することも新しい時代を開始させることもできない。ただ「金正日と盧武鉉のツーショット」にのみ意義がある首脳会談になることは間違いない。
朝鮮日報によれば、韓国政府は首脳会談の「手土産」として大規模な経済協力のプロジェクトを用意しているという。道路、鉄道、発電所、港湾設備などの近代化がその内容だ。盧武鉉はこれを平壌で華々しく発表し、金正日はミサイル実験や核実験を無視して融和政策を続けてくれた盧武鉉を盛大に歓迎することになるのかもしれない。しかし、経済協力が大規模であればあるほど、六ヶ国協議が頓挫すれば同時に行き詰まってしまうリスクは高くなる。1994年の米朝枠組み合意が作りかけの軽水炉を残したように、盧武鉉も作りかけの道路や鉄道を残すことになる。そんなものが残れば「盧武鉉道路」「盧武鉉鉄道」と呼ばれることになるだろう。
そもそも、経済協力の話ばかりで人権や人道に関わる問題がまったく忘れ去られているのは一体どうしたことか。韓国人拉致被害者はいまだに帰ってきていない。離散家族は相変わらず面会できるだけで、再会した家族が再び一緒に暮らすことはできない。韓国で亡命した脱北者は既に一万人を超えており、北朝鮮に残した家族との関係が新たな離散家族問題になっている。首脳会談で日本人拉致問題を提起してくれ、という日本政府の要請が横ヤリのように見えてしまうのは、日本政府が「日本人拉致さえ解決すればよい」という狭量な考えしかもっていないからだけではなく、韓国政府が人権問題にまったく関心を持っていないからでもある。
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