デイリーNKで「対北封鎖論を越えて」という副題がついた連載コラムが始まった。「開かれた北韓放送」の河泰慶氏によるものだ。彼によれば、太陽政策に反対する陣営には二つの潮流がある。一つは北朝鮮の孤立化、封鎖を主張する「封鎖論」の流れ、もう一つは北朝鮮の住民の意識を変えようとする「積極的包容論」の流れだ。彼は後者の観点から前者を批判している。
最初のコラム「'対北封鎖論'をうまく乗り越えよう」では、李承晩政権と朴正煕政権の北朝鮮政策は封鎖論、盧泰愚政権と金泳三政権の北朝鮮政策は積極的包容論と整理され、全斗換政権は過渡期と位置付けられている。ただし、盧泰愚政権と金泳三政権は北朝鮮民主化を達成する明確な戦略を欠いていたため、金大中政権以降、李承晩政権や朴正煕政権と同一視されることになってしまったという。
つづく「金正日-北の住民, 分離戦略」では金剛山観光と開城公団事業の違いが指摘される。前者では北朝鮮の住民が外部世界と接触する機会がほとんどないのに対し、後者は多数の北朝鮮労働者が韓国のモノ、ヒト、情報に接する機会を提供しており、彼ら・彼女らの意識を変える可能性がある、ということだ。
河泰慶氏のコラムは以前にも二度取り上げたことがある。北朝鮮の近代化を支援することで金正日に代わる勢力を育てよ、という主張と、人権改善を交換条件とした北朝鮮版マーシャルプランの構想。興味深いスタンスの人だと思っていた。今回のシリーズで彼の立場は「積極的包容論」として整理され、わかりやすくなった。融和的でない関与政策、という側面はビクター・チャの「タカ派的関与政策」と重なる。しかしビクター・チャの立場がどこか折衷的で現状追認的な感じがするのに対し、河泰慶氏の提案する戦略はもう少し具体的だ。
ただ、「金正日-北の住民, 分離戦略」に脱北者への言及がないのは惜しい。いったん中国に脱出してから北朝鮮に戻った者は、中国での生活を周囲の人々に伝えただろう。韓国に定着した人でも、北朝鮮に残してきた家族と何らかの手段で連絡を取ることは多い。北朝鮮の住民と積極的に接触することが北朝鮮の変化を促す、と言いたいなら、そのための一番の方法は脱北者の支援ではなかろうか。
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