朝鮮民主主義研究センター

2007年5月 6日

米国務省のテロ報告から日本人以外の拉致が脱落

アメリカ国務省が2006年度のテロリズムに関する報告書を4月30日に発表した。

2005年度の報告書にひきつづき、北朝鮮はテロ支援国家の章に登場している。しかし記述の内容には二つの重要な違いがある。2005年の報告書では、大韓航空機爆破事件、日本人拉致、韓国人拉致、その他の外国人の拉致、よど号事件が挙げられているのに対し、2006年の報告書では日本人以外の拉致に関する記述が消えているのが第一点。今年2月13日にアメリカ政府は「朝鮮民主主義人民共和国のテロ支援国家指定を解除する作業を開始する」ことに合意した、と書かれているのが第二点だ。

韓国人拉致を忘れることにしたのであれば、大韓航空機爆破事件もいずれ忘れることになるだろう。また、よど号事件に関しては犯行そのものを北朝鮮が指示したわけではないので問題は小さい。ただ実行犯のグループを国外追放すればいいだけだ。そうなるとテロ支援国家の指定を解除するためのハードルは日本人拉致だけになる。

日本人以外の拉致に関する記述がなぜ消えたのか。朝鮮日報の社説は「北朝鮮の核廃棄を実現するための配慮が働いたから」と推測しつつ、「拉致された自国民の問題に最後まで粘り強く取り組む日本政府の姿勢と、臭いものに蓋をするような態度で臨む韓国政府との、姿勢の違いが影響した可能性」も指摘している。もともとアメリカの北朝鮮政策の最優先課題は核開発の阻止だった。拉致問題はアメリカの問題ではない。核開発の問題を解決するために拉致問題を捨てることはありうるし、韓国政府でさえそれほどこだわっていない韓国人拉致にアメリカ政府がこだわることはありえない。2月13日の合意でも、拉致問題は日朝関係の部分で「懸案事項」として登場するだけだ。日本人以外の拉致は問題としない、というのは六ヶ国協議参加国の一致した見解と言っていい。

2月13日の合意では、米朝交渉と日朝交渉が並行して進められることになっていた。テロ支援国家指定の解除と拉致問題の解決は同時並行ということだ。どちらか一方で進展があった場合はもう一方も進展させなければならないし、どちらか一方が暗礁に乗り上げたときはもう一方の動きも止まらなければならない。現時点では、状況はすべてが止まる方向へと進んでいる。残ったのは日本人以外の拉致被害者が切り捨てられたという事実だけだ。

今週の北朝鮮(2007/04/28-2007/05/04)
投稿者 kazhik : 2007年5月 6日 08:37
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