元米兵のジョー・ドレスノクさんがイギリスのドキュメンタリ映画監督によるインタビューに応じた。
彼は1962年に米軍から脱走して北朝鮮に亡命。チャールズ・ジェンキンスさんら3人の元米兵と生活をともにした。ジェンキンスさん以外の2人は既に死亡しており、今も北朝鮮で生活しているのは彼だけだ。
ジェンキンスさんの著書『告白』によれば、ドレスノクさんは初対面のジェンキンスさんに「あなたは片足を煮え湯の鍋に突っ込んでいたのかもしれないが、ここへ来たら火の中に飛び込んだも同然だ」と言ったという。ジェンキンスさんがベトナムに派遣されるのが嫌で脱走したと語ったのに対する言葉で、北朝鮮への亡命はそれより悪い選択だ、という意味だ。しかし北朝鮮で行われたインタビューでは、ドレスノクさんは「ここから去るつもりはない。私は自分の家にいるように感じている」と語った。
ジェンキンスさんのケースの再現だ。彼も北朝鮮にいるときは同じことを言っていた。訪朝した小泉首相が直接説得しても出国を決意しなかった。北朝鮮から出たい、と言ってしまったら当局からどんな扱いを受けるか分からないし、出国できたとしても脱走の罪を問われることは確実だったからだ。この事情はドレスノクさんの場合も全く同じだ。今回のインタビューによって彼の意思を理解することはできない。
今回のインタビューでも、彼は亡命から4年後にソ連大使館で再亡命を求めたことがあると語っている。再亡命は認められず、彼は北朝鮮の生活に順応することにしたという。この点からも「ここから去るつもりはない」という言葉は本心からのものではないと判断できる。
ジェンキンスさんの著書では、ドレスノクさんは他の亡命米兵を裏切って北朝鮮の「イヌ」に成り下がり、ジェンキンスさんを何度も殴りつけた人物として書かれている。ドレスノクさんは今回のインタビューでその点を否定し、ジェンキンスさんを「ウソつき」と非難している。どちらの言葉が事実なのかは分からないが、問題の全体から見れば瑣末なことにすぎない。
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