今年に入り、朝鮮日報が北朝鮮の体制崩壊に関する特集記事を二度掲載した。先週は北朝鮮の政権交替:3つのシナリオなど3本、今週は北朝鮮体制崩壊の可能性:北が直面する「5大難」とは?など4本。北朝鮮の状況が最近急に変わったわけではないし、いずれの記事もとくに新しい事実を伝えているわけではない。半年前でも書けたはずの記事ばかりだ。具体的な政策の提案もない。どういう趣旨の特集なのか、理解に苦しむ。
一方、今年に入って日本語版がスタートしたデイリーNKには北内部 '代替勢力' どのように育てるのかという記事が掲載された。北朝鮮向けのラジオ「開かれた北韓放送」の事務総長を務める河泰慶氏によるものだ。太陽政策の問題点を指摘し、北朝鮮を改革開放へ導くための具体的な政策を提案している。
河氏は太陽政策を「金正日政権に対する一方的な依存政策」と特徴づけている。金正日政権が改革開放へ向かう可能性に賭け、金正日政権に代わる勢力(代替勢力)を育てようとしてこなかった、とのことだ。代替勢力がなければ金正日は改革開放の必要を感じない、という。
では、どのようにして代替勢力を育てるのか。河氏は国際的な人権運動によって金正日政権による人権弾圧を抑止することをまず挙げる。しかしそれはリスクが高いとし、並行して「近代的な価値観を持っている新しいエリートを養成するように助けること」を提案する。具体的には、北朝鮮の海外留学生を支援する、海外での韓国企業による北朝鮮労働者の雇用を支援する、中国内の脱北者に対する教育事業を強化する、などだ。
人権運動は脱北者の保護や囚人の解放などといった短期的な課題を追求することが多い。それだけではなく長期的な視点に立つことも必要だ、という指摘には同意できる。私自身はリスクが高くても「民主化支援」が一番大事だと考えるが、河氏が提案する「近代化支援」にも十分に意味があると思う。ここ数年の市場経済化で北朝鮮の人々の意識が「将軍様」から自立してきていることは間違いない。「近代化支援」はその流れをさらに強めるだろう。
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