10月9日、北朝鮮があらゆる反対の声を無視して核実験を強行した。
実験がどこでどのように行われたのかは公表されていない。各国政府も正確な事実はつかめていないようだ。だが、そのこと自体は大きな問題ではない。核をふりかざして周辺国を脅迫すること自体がまったく容認できない行為だ。
ずっと北朝鮮に融和的だった中国と韓国でさえ、今回は北朝鮮を非難する以外なくなっている。両国の政策が失敗したのは明らかだ。韓国政府は「太陽政策」を掲げて北朝鮮を援助しつづけてきたが、いくら太陽で照らしても旅人はマントを脱がなかった。中国政府がこだわる六ヵ国協議は、昨年9月の共同声明において、北朝鮮に「すべての核兵器及び既存の核計画を放棄すること、並びに、核兵器不拡散条約及びIAEA保障措置に早期に復帰すること」を約束させることに成功した。しかしその約束を守らせることには失敗した。<対話>は金正日政権の暴走を黙認する効果しか持たなかったと言える。
一方、アメリカや日本による経済制裁も核開発をやめさせることはできなかった。昨年9月には紙幣偽造を理由として金融制裁が始まり、今年7月にはミサイル試射を理由としてさらに制裁が強化されていた。その効果といえば六ヵ国協議が機能停止に陥ったことぐらいだ。北朝鮮はアメリカや日本に対して少しも譲歩しなかった。むしろ制裁の強化が北朝鮮の核開発を加速させたのではないか。
国連安保理は経済制裁の条項を含む対北朝鮮決議を採択する見込みだ。中国や韓国も同調する以外ないだろう。日本のメディアも制裁論一色に染まっており、議論されるのは「臨検」や「周辺事態」ばかりだ。しかし、いままで無効だった制裁が今後は有効だと信じる根拠は何もない。効果が何かあるとしたら、北朝鮮の経済状況が悪化し、核やミサイルに関係ない人々が飢餓に苦しむことぐらいだろう。北朝鮮は民主主義国家ではないので人民が苦しんでも権力者には関係ない。
結局のところ、<対話>であろうと<圧力>であろうと北朝鮮の現体制の存続を前提とするかぎりは意味がないのだ。対話を続けても変わらないし、圧力を加えつづけても変わらない。体制を変える以外ない。
体制を変えるといっても、その手段は軍事攻撃だけではない。ソ連や東欧の共産党政権が戦争なしで崩壊したのはそれほど遠い昔ではない。とりわけ東ドイツの例は朝鮮半島にとって貴重な先例となる。平和的に体制を変え、分断国家の統一まで実現させることは十分に可能だ。中国や韓国が北朝鮮との国境を開放し、やってきた脱北者を日米を含めた周辺国が無制限に受け入れればいい。
核実験は重大な事件ではあるが、それだけを非難しても基本的な問題は解決しない。金正日なき東北アジアを実現するための構想力が必要だ。
アフガン・イラク・北朝鮮と日本からのトラックバック(2006年10月14日 23:37)
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