朝鮮民主主義研究センター

2005年11月13日

拉致問題解決に対する立ち位置・主張を伝える為の 10 個の質問

拉致問題解決に対する立ち位置・主張を伝える為の 10 個の質問というのができたそうなので、回答してみたい。

  1. 問:拉致被害者家族会が北朝鮮への経済制裁を訴える事に違和感を感じる。

    答:2. 違和感を感じない事も無いが、心情は理解出来る。

    経済制裁は拉致問題の解決には役立たないし、拉致と関係ない人たちに被害を及ぼす。別の方法を考えるべきだ。横田めぐみさんの「遺骨」問題に関して一年ほど前のエントリでも書いた。

  2. 問:例え拉致問題が解決しなくとも、今後、同じ出来事が自分の身に降り掛かるとは思えない。

    答:2. 何とも言えない。

    北朝鮮の工作機関が現在でも拉致を行っているとは思わない。ただし、北朝鮮の体制が基本的に変わっておらず、責任者が処罰されていない以上、将来再び拉致が行われる恐れはある。

  3. 問:小泉政権による対拉致問題への取り組みは、生ぬるいと考える。

    答:1. 生ぬるいと考える。拉致被害者に残された時間はそう長くは無い事を踏まえるべき。

    小泉政権は一貫して日朝国交正常化を目指しており、拉致問題はそのための「障害」としてしか扱われていない。拉致問題の解決を求める世論がその動きに歯止めをかけているのが現状だと思う。

  4. 問:小泉政権による対拉致問題への取り組みが、拉致問題の解決へ大きく寄与していると考える。

    答え:2. 何とも言えない。

    小泉政権のもとで5人の拉致被害者が奇跡的に帰還し、その家族も日本に来ることができた。この功績は大きい。ただし、平壌宣言を前提とするかぎり、第二の奇跡を期待することはできない。先日の総選挙の際のエントリでも書いた。

  5. 問:国際社会における米国との連携が、拉致問題の解決へ大きく寄与していると考える。

    答:4. その他。

    5人の拉致被害者が帰還できたのは米国政府の後押しがあったから、とは言えない。韓国の「太陽政策」とともに東北アジアで緊張緩和が始まり、日朝交渉が再開されたため、副次的に拉致被害者の帰還が実現した、という流れもある。また、米国政府の第一の関心事項は核問題であって拉致問題ではない。いずれにせよ、拉致問題を含めた北朝鮮の人権問題を解決するために国際社会に訴えていく努力は必要。

  6. 問:北朝鮮問題は日本の安全保障としての核の問題が第一優先事項。ここで対応を間違うと数千万人の単位で被害が出るから。数十人、最大でも数百人の拉致被害は優先順位では二番目だ。

    答:4. その他。

    北朝鮮が戦争を始める可能性は限りなくゼロに近く、米国が北朝鮮を軍事攻撃する可能性もまずないので、核問題を考える必要はない。6カ国協議はまったく無駄。他方、拉致問題は北朝鮮が抱えている様々な人権問題の一つであり、拉致問題の解決は他の人権問題の解決につながるので、数百人レベルの問題ではない。北朝鮮の核開発は飢餓を放置して進められているのが最大の問題だ、と「ならずもの国家」の核保有宣言で書いたことがある。

  7. 問:拉致被害認定者である残り 11 人の帰還を以って、「拉致問題の解決」と考える。

    答:3. 拉致の可能性が濃厚な特定失踪者を含めた残り 100 人以上に上る人々はどうなるのか。とても「解決」と考える事は出来ない。

    拉致被害者の帰還だけでは拉致問題の解決とは言えない。被害者への補償、責任者(金正日も含む)の処罰、再発防止(体制変更)が必要。

  8. 問:日本人拉致被害者のみならず、その他外国人の拉致被害者、また、北朝鮮国内における人権問題の解決も併せて目指していくべきだ。

    答:1. 当然である。自分達だけ助かれば良いという考えは、道徳的にも国際的にも、到底受け入れられる事ではない。

    拉致問題は氷山の一角にすぎないので、他の人権問題の被害者と連携して本質的な解決をめざしていくべきだ。私がいつも心に留めているのは『七人の侍』の名セリフ。「人を守ってこそ自分を守れる・・・己のことばかり考えるやつは、己をも滅ぼすやつだ!」

  9. 問:北朝鮮の体制が崩壊しない限り、この問題は解決しないのでは?

    答:2. そう思う。でも中国と韓国がそれを許さないだろう。どうしたらいいのか分からない。残念だけど長引きそう。

    北朝鮮の体制崩壊を望んでいないのは中国や韓国だけではなく、日本政府も同じ。人権問題をしつこく訴えて北朝鮮や周辺国の政府に心理的圧力をかけるとともに、北朝鮮国内での民主化への動きに期待するのが唯一の道。

  10. 問:この運動をきっかけに日本の愛国心の高揚を図り、他の様々な問題に対しても応援に向かい団結していくべきである。

    答:3. 反対。政治的なイデオロギーを持ち込むと運動の方向性が拡散するし、敬遠する人も出てくる。むしろリベラルな人でもこの問題には賛同するし怒りを覚えるという立場が大事

    拉致問題を利用して国家主義や排外主義を煽るのは拉致問題の解決そのものにとっても有害無益。そういう理由で私は救う会を支持するのをやめた。ネット上でも、朝鮮人に対する差別や偏見であふれているサイトにブルーリボンが貼られていることが多いのにはウンザリさせられる。ブルーリボンは免罪符ではない。

投稿者 kazhik : 2005年11月13日 07:32
コメント&トラックバック

善ポコさんの”拉致問題解決に対する立ち位置・主張を伝える為の 10 個の質問”というテーマは、拉致事件の論点が、うまい具合に整理されており、ブロガーや掲示板の投稿家の答えを... [続きを読む]

minow175の拉致事件と北朝鮮情勢のブログからのトラックバック(2005年11月14日 23:20)


叫び続けること 苦節28年、横田夫妻をはじめとした家族会の人々が、「情」と「理」を天秤にかけながら、彼らなりの「国益」を提案してきたことは、見落としてはならない功績であり... [続きを読む]

ブログ界の正論からのトラックバック(2005年11月17日 12:04)

このエントリーのトラックバックURL:
http://asiavoice.net/mt/mt-tb.cgi/162